ボーン・イン・カバン・アンド・ニンジャ


〜前回までのあらすじ〜
 突如襲ってきた女ニンジャ、サーバルのアンブッシュを受け、意識不明となったカバン。しかし直後、自らの身体にもニンジャソウルが憑依し、ニンジャとなった。
 覚醒したカバンを見たサーバルは、自らセキバハラちほーの案内役になることを申し出たのだった……。

 翌日! 早朝から雲一つない大空には死神めいた太陽が照りつけ、容赦なく二人の体力を奪う。カバンは道中の植物で器用に帽子を作り、太陽光から少しでも逃れようとする。重金属酸性雨の降りしきる都市にありては誰もが夢見る明るい太陽も、この地では有害な気候要素に過ぎない。

 いかにカバンがカラテに優れようとも、これほどまでに過酷な環境で、ましてや慣れぬサバンナ気候では、旅の中途で死んでいても実際おかしくなかった。しかしながら今はサーバルがいる。カラテには劣っていても、サーバルの野伏めいた技術と知識は信頼に足るものだ。

「ミャーッ!」先行するサーバルが切り立った崖をわずかな足場を頼りに飛び降りていく。彼女の所属するネコニンジャ・クランは高低差のある場所の移動や柔軟な肢体を特徴とするクランだ。
 サーバルは振り返ってカバンに手招きをした。

「イヤーッ!」続くカバンも崖から一歩身を乗り出す。しかし……おお、見よ!崖上にあった岩に立ち、直立不動のまま滑り降りていく!なんたる卓越したニンジャバランス感覚か!「スゴイ!」下から見ていたサーバルも驚嘆!

 その時である!「GRRRRRR!」影から青色の物体が飛びかかってきた!「イヤーッ!」カバンは済んでのところで連続バク転回避!「新手のフレンズか!?」「それはセルリアン!危険なバイオ生物だ!」青色のセルリアンはなおもカバンに追いすがる!

「イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!」カバンは紙スリケンで応戦する!「GRRRRRR!」視界を阻まれたセルリアンの足が止まる!「足止めできれば十分よ!ミャミャミャミャーッ!」サーバルの拳がセルリアンの体を刺し貫いた!ツメ・ケン!「AAAAAAGGGHHH!?」セルリアンは爆発四散!


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「そろそろゲートまで中腹といったところか」サーバルが口を開いた。「目的地があると言っておったな、ゲートの先に」「ああ。図書館に行く」「図書館とな」カバンは頷き、答えた。「そうだ。知っているだろう、この世の科学を集約した巨大な研究施設があると」「噂には聞いたことがある」

「とにかく、図書館には研究の成果が残されている。俺が何者かを解き明かす研究が」「難儀なものだな。……おお、あの川だ」サーバルは右手に見えてきたオアシスを指さした。「砂利で濾過すれば飲める。そこで休憩するとしよう。魚も獲れるやもしれん。スシだ」

 サーバルが魚を獲っている間にカバンは焚火を起こし、調理を開始した。バイオフナを串刺しに焼いたものと、とろけるような舌触りの、バイオアナゴ蒲焼スシである。二人はそれに舌鼓を打ち、やがて少しの間まどろんだ。

「カバン=サン、起きろ」彼女は川の上流の白い泡に気づき、手をかざして注視した。「……何だ」「あン?」目を覚ましたばかりのカバンは面倒そうにその方角を見た。何か大きなものが川を流れてくる。「嫌な気配だな」サーバルは頷き、カラテを構えた。「バイオポメラニアンの襲撃かもしれぬ」

 まさに彼らのキャンプのすぐ手前、流れて来たものが飛沫をあげ、岩を掴んで水から這い上がった!「グハァーッ!」草の上に転がり出たそれは……そのニンジャは野営に瞬時に気づき、バック転で飛び離れる!「……」ジュー・ジツを構えたそのニンジャを見、カバンとサーバルは目を見開く!

【THE SHUBIDOVERS】

 シュビドゥヴァーズはですね、基本的にはニコ動の男声合唱と言われるタグで過ごしてまして。表記揺れぇ…ですかねぇ…。幼い女の子にスッとペロペロできる合唱団でして。結構アニソンが好きなので、軽々と1曲2曲余裕で編曲してくれますね。

【THE SHUBIDOVERS】

「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」カバニンジャとカバンの熾烈なカラテラッシュだ!まさにそれはミニマルな木人拳めいた最大接近距離打撃の応酬!目まぐるしい攻撃!そして防御の構築美めいた…カラテ小宇宙!

 しかし…いつまでも続くかと思われたカラテ応酬を制したのはカバニンジャだ!「イヤーッ!」「グワーッ!」肩に重い一撃を受けたカバンはたたらを踏む。「イヤーッ!」「グワーッ!」右!「イヤーッ!」「グワーッ!」左!「カバン=サン!」助けに入ろうとしたサーバルをバイオポメラニアンが阻む!

(((グググ…カバンよ…)))カバンのニューロンから声が響き、時間の感覚が鈍磨する。(((相手はグウテイニンジャ・クランのグレーターニンジャ……このような弱敵程度あしらえぬようでは……グッグッグ……カバンよ、やはりワシに身体を預けるべきでは?)))(((黙れミライ!)))

(((インストラクションを授けよう……アカラニンジャに正面から挑むは愚の骨頂……距離をとってスリケンで応戦せよ…怪力とて当たらねば無意味…)))ミライの意識は再び水面下へと沈んでいく。時間の感覚が戻る!「イヤーッ!」「イヤーッ!」カバニンジャの致命の蹴りをカバンはブリッジ回避!

 そのまま連続バク転で大きく後ろに下がる!「逃すか!…グワーッ!?」バク転と同時に投擲していた紙スリケンがカバニンジャにクリーンヒット!追撃阻止!「コシャクナーッ!」「イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!」息もつかせぬスリケン投擲!カバニンジャは防御を解けない!

「今だ!ヤッチマエーッ!」サーバルが叫ぶ!カバンは中腰で上体を捻る!縄めいた筋肉が背中に浮かび上がる!「イイイヤアアアアーッ!」それは奥義ツヨイ・スリケン!凄まじい勢いで投げ放たれたスリケンはカバニンジャの首を跳ね飛ばした!「アバーッ!サ、サヨナラ!」カバニンジャは爆発四散!


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 ゲートに到着したカバンはサーバルと別れ、歩みを進める。日が既に暮れかけている、ここで時間を取られては危険なジャングルのバイオフレンズたちやセルリアンに襲われる危険がある。真夜中になる前にここを抜けるべきだろう。カバンはニンジャ第六感を鋭敏に尖らせ、警戒しながら森に足を踏み入れた。

 森の匂いが一層濃くなる。並のニンジャであれば感覚が狂い、発狂死しているかもしれぬ深い森林であった。そこかしこにバイオフレンズの気配が漂う。道なき道をかき分け進むカバンの上方、木々の枝先を何者かの影が通った。

「ウミャミャミャーッ!」「イヤーッ!」飛来した何者かのトビゲリを、カバンは右手で受け止め、払った。「今のアンブッシュには何点もらえるかしら?」空中で回転してカバンの目の前に立った何者か――サーバルは付着した木の葉を払った。「サーバル、なぜ来た」「少し気になってな」

「図書館に行くのだろう」「……ああ、俺が何者か確かめる必要がある」「道は分かるのか」カバンは地図を広げた。「この地図によれば、このジャングルと砂漠を超えた先にあるらしい」「……同行しても?」「危険だ」サーバルの提案を、カバンは制した。

「私とてニンジャだ。セルリアンを倒せるくらいの力はあるさ。邪魔にはならんぞ」「……サーバル、貴様はちとお節介が過ぎる性分のようだな」「否定はせん。それはそうとだな、カバン=サンよ」サーバルはカバンに身を寄せる。「その呼び方を何とかしろ」

「フン……サーバル=サン。これでいいか」渋々ながらカバンが言うと、サーバルは「充分だ」と笑った。

【ボーン・イン・カバン・アンド・ニンジャ#1終わり。#2へ続く】(続きません)






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